上達 2018年7月27日
いつつ将棋教室神戸元町校 にコース4週目
皆様、こんにちは。いつつ将棋教室神戸元町校の講師を担当しております、荒木隆です。
ここまで「にコース」では、「合わせの歩」「垂れ歩」「拠点」といった歩を上手に使う手筋について、学習してきました。
最後となる今回は、この習ってきた手筋をより使いやすくる技を紹介したいと思います。それは、突き捨ての歩です。
損して得取れ
歩は使い勝手の良い便利な駒ですが、実は持駒に保持してもすぐに使うことはできません。なぜでしょうか? 理由はもちろん、二歩になってしまうからです。
それゆえに、初心者は歩を取っても使いみちが見いだせず、いたずらに持ち歩を増やしていくだけ…という状況に直面しがちです。特に、10枚落ちの下手はこのようなパターンに陥りやすいですね。これでは宝の持ち腐れです。
では、駒台に乗った歩はどのように使っていけば良いのでしょうか。その答えは、二歩を回避すること。すなわち、自分の歩を盤上から消すことです。つまり、持ち駒の歩を有効に運用するには、自分の歩を相手に取らせる必要があるわけですね。そのために、「突き捨ての歩」という技が存在するのです!
一つ、簡単例を示してみましょう。
ここで▲4三歩で垂れ歩を打てば、後手は次の▲4二歩成を受けることができないので、こちらが駒得することができます。しかし、現状では▲4三歩を打つと、二歩になってしまいますね。
そこで、▲4五歩が賢い一着です。相手は歩を取らせないために△同歩と応じますが、4筋に歩がいなくなったので、今度こそ▲4三歩と垂れ歩を使うことができますね。
これが、「突き捨ての歩」の効果です。歩を自由に使うためには、歩を捨てなければいけないのが将棋の玄妙なところですね。
生徒たちも始めは歩を捨てることに抵抗を持っていましたが、何度も繰り返し練習するうちに、盤上の歩を消すことが攻め筋の幅をぐっと広げることにつながることを分かってくれたみたいです。駒が減るのに攻撃力が上がるのは新鮮だったみたいですね。
突き捨ての歩は持ち駒の歩を使うには必要不可欠な技です。是非ともこの手筋を習得して、垂れ歩や拠点などの攻めと組み合わせて行きましょう!
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