いつつ将棋教室

イベント 2024年4月17日

国際交流イベント 〜スロバキア将棋連盟のルカスさんを迎えて〜

中倉 彰子

2023年7月24日(月)、スロバキア将棋連盟のルカスさんと奥様のマリアさんの来日に合わせて、いつつ将棋教室の生徒さんと将棋交流をするイベントを開催しました。

いつつ将棋教室の生徒さん14名が集合しました。

当日のレポート

スロバキアの将棋活動についてルカスさんからお話を伺いました。

まずは皆んなでスロバキアの位置を地図上で確認。遠い国でも日本の将棋が楽しまれていることに、生徒さんたちも驚いたようです。

ルカスさんは、2005年から毎週日本将棋を指す集まりを開催。そして2009年 にスロバキア将棋連盟を創立されました。その後、毎年将棋大会を開催されています。

2019年には、ヨーロッパ将棋チャンピオンシップが開催され、いつつ教室講師の中座八段他、プロ棋士の方々が現地にて指導対局をされたとのことでした。

スロバキア将棋連盟の活動をご紹介いただきました

さて、お話の後は、席上対局です。

マリアさん対いつつ生徒(竹村くん当時4年生)の対局です。

竹村くんは、文部科学大臣杯第19回小・中学校将棋団体戦東京都大会にて優勝するなど最近メキメキと実力をつけています。

マリアさんと竹村くん(いつつ将棋教室 選抜クラス在籍)の対局

持ち時間15分切れたら30秒の秒読みです。振り駒の結果、先手はマリアさんに決まりました。

その模様を大盤にて再現しつつ、中倉宏美二段と私にて解説を行いました。対局場と大盤解説の場所が近いので、ヒントになったりじゃまになったりしないよう配慮しながら進めました。

マリアさんは四間飛車に飛車を移動し、玉は美濃囲いに囲いました。対する竹村くんは居飛車戦法に玉の囲いは舟囲いです。お手本になるような綺麗な序盤戦です。

マリアさんは、ヨーロッパの級認定では9級の実力とのことでした。

マリアさんと竹村くん(いつつ将棋教室 選抜クラス在籍)の対局

上記局面からマリアさんが▲6五歩と角道と飛車道を開ける歩をつき、戦いが始まりました。

その後、マリアさんがまずまずの展開を迎えましたが、高美濃から銀冠を作る瞬間、銀が上がり玉の横が開く一瞬をついて、竹村くんが機敏に仕掛けたのが良いタイミングでした。

マリアさんも相手の飛車を成らせないよう、角の利きを生かし防戦するも、竹村くんの「と金」攻めが厳しく入り、以降は竹村くんが優勢となりました。

観戦している子ども達は、「次はどう指すんだろう」と自分なりに考え集中して見ていました。

飛車と馬で寄せに入った局面、詰みではないですが、厳しい攻めが続きそうなのと、竹村くんの舟囲いがしっかりしているのもあり、マリアさんが投了されました。

最後は大盤を使い感想戦を行いました。

マリアさんありがとうございました。こちらの対局の模様はLPSAチャンネルにて配信しています。

最後は大盤を使って感想戦

その後、生徒さんたちは実力によって3つのクラスに分けたリーグ戦を戦います。ルカスさんとマリアさんにもそれぞれリーグ戦に入って対局をしていただきました。

対局空番の生徒さんには、中倉宏美女流二段と、西海さん(LPSA将棋インストタクラー)による指導対局が行われました。

生徒さん達のリーグに入っていただき真剣勝負
マリアさんもリーグに入って対局をしていただきました

将棋を指した後は和やかに感想戦。初めて会っても将棋を指せば親しくなれます。

全てのプログラムを終えた後は、生徒さんたちがコメントを書いた色紙と、中倉姉妹からは直筆サインの扇子をプレゼントさせていただきました。

生徒さんたちから感想コメントを書いた色紙と扇子をプレゼントさせていただきました

最後は皆で記念撮影。ルカスご夫妻からは、生徒さんたちにスロバキアのお菓子をいただきました。

最後はみんな笑顔で

さいごに

今回の国際交流イベントで日本の将棋が世界で楽しまれていることを生徒さんたちに知ってもらうことができました。私も含めて生徒さん達もスロバキアの国の方とお会いしたことはありませんでしたが、こうして実際に将棋を通して交流することで、身近に感じることができました。

文化交流を通してお互いの国を知るということは、今後もぜひ生徒さんたちに体験してもらいたいなと思っています。

ルカスご夫妻は日本語も堪能ですので、子供たちとの対局後の感想戦も、時には真剣に時には笑いありで行っていました。でももし言葉の壁があったとしても、将棋は「棋は対話なり」でやはり交流ができるのかもしれません。そういう意味でも将棋っていいな、と改めて感じました。

ルカスご夫妻は日本将棋の歴史にも詳しく、「お城将棋の対局は、事前に対局をしていた棋譜を再現していた」ということもご存知でした。(お城将棋は、最初は実際に対局をしていましたが、あまりにも時間が掛かり過ぎるということで、途中から「下指し」と言って事前に対局をしたものを将軍の前で披露されたと言われています。)

帰国後、ルカスさんが開いているスロバキアの将棋の会にもお子さんが4名ほど参加してくれたようです。オンラインでいつつ将棋教室の生徒さんと対局ができるのを楽しみにしています、と連絡がありました。

U15国際交流アパガード杯などオンライン大会も開催されているので、そういった機会に対戦できることを楽しみにしています。

ルカスご夫妻、ありがとうございました。

おまけ

このイベントの前に、LPSA YouTubeチャンネルの企画にて、ルカスさんと私(中倉彰子女流二段)も対局を行いました。右四間飛車からエルモ囲いという戦法を勉強されていてとても強かったです。

対局の模様はこちらです。

この記事の執筆者中倉 彰子

株式会社いつつ代表取締役、女流棋士。女流アマ名人戦連覇後、94年高校3年生で女流棋士としてプロデビュー。プロとして公式戦を戦うだけでなく、NHK杯将棋トーナメントなどテレビ番組の司会や聞き手、イベント司会などでも活躍。私生活では3児の母親でもあり、育児と仕事の両立に奮起。2007年日本女子プロ将棋協会設立に参画。事業部長として、地域や子どもたちに長く親しまれるイベント作りを心がけている。子育てエッセーを地方紙7新聞に連載し、近年は将棋と知育・育児を結びつけるような活動を広く展開。2015年10月株式会社いつつを設立、代表取締役に就任。女流二段。法政大学人間環境学部卒。東京都府中市在住。@AKIKOPDG

関連記事

042-310-9151受付時間 平日 10:00 – 17:00

教室について、ご不明点や質問があれば、お気軽にお問い合わせください。(授業中は出られないことがあります)