上達 2018年8月21日
いつつ将棋教室神戸元町校 ほコース2週目
皆様、こんにちは。いつつ将棋教室神戸元町校の講師を担当しております、荒木隆です。
前回に引き続き、「寄せ」に関する内容がテーマです。まずは金を攻めることが寄せの第一段階でしたね!
今回は、金を攻めた後にどうすればいいのか? という話をしたいと思います。
玉を捕まえるコツは、王手をすることではない!
唐突ですが、将棋ってどうすれば勝てるんでしたっけ? 相手よりも先に玉を取ることでしたね。なので、王手を掛けることはとても魅力的な手に映ります。だって、次に王様が取れるんですから。
今回の講義では、このような場面から「相手の王様を捕まえてみようか」と生徒たちに問いかけてみました。すると、生徒のK君は駒音高く▲2一竜! と指してきました。
そうそうそう! そうなんですよ。初見の方は、ほぼ確実にここで王手をかけてきます。しかし、実はこれは相手の望むところで、△6二玉と逃げられると捕まえるのは容易ではありません。そこから▲3二竜とさらに追いかけても、△7三玉で状況は好転しません。
相手の玉は右にも左にも逃げ道があり、これを捕まえるのは至難の業です。ここから方針がわからず、竜をウロウロしてしまうと、再びドラゴンフライ現象の始まりです。
なぜ、王手をかけたのに、相手の玉を捕まえることができなかったのでしょう? 実は、王手をかけても、相手の玉の逃げ道を塞いでいるわけではないんですね。受け手側は逃げ道が複数ある状況下で王手をかけられても、痛くも痒くもないんです。
でも、この失敗例は誰しもが通る道なので、気にする必要はありません! では、どうするべきだったのでしょうか?
上から押さえて、頭金!
改めて、先程の場面を見てみましょう。
先ほど、私は「受け手側は逃げ道が複数ある状況下で王手もかけられても、痛くも痒くもない」と記しました。これは、裏を返せば逃げ場が無い状態の王手は効果的と言うことができます。そう、玉を捕まえるコツは王手ではなく、玉の逃げ道を無くすことなのです!
ということで、上記の局面ではあえて、王手をかけない▲2二竜が正解となります。
王手ではありませんが、二段目に竜を配置したことにより、相手は上に逃げ出すことができなくなりました。後手の玉は青で示した二マスしか動くことができませんね。愚直に王手を掛けるよりも、玉の行動範囲を狭めていることが分かります。
次は、▲5二金と打って玉を詰ますことができます。このように、相手の玉を上から押さえて頭金を狙えば、スムーズに玉を捕まえることが期待できます。
ここで、前回の内容である「金を攻める」ということが、密接に関係してきます。つまり、相手の金を取ることが、そのまま頭金でトドメを刺すことに繋がってくるのです。なので、寄せは金を狙うことが重要な訳なんですね。
少し長くなりましたが、
(1)金を攻める。
(2)相手の玉を上から押さえる。
(3)頭金を狙う。
という3つの工程を踏むと、相手の玉を捕まえやすくなります。皆様も対局を指すときは、これを心掛けてみてください。驚くほど、寄せのスキルがアップしますよ!
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