いつつ将棋教室

教室 2019年1月20日

教室紹介 その1 のびのび教室

中倉 彰子

府中教室ではいろいろなクラスを開講していますが、はじめての将棋教室、い・ろ・はコースを卒業すると「のびのび教室」に入り、いよいよ実戦中心のクラスに移行します。今回は「のびのび教室」ではどんなことをしているのかを紹介していきます。

1:詰将棋

教室に入ったら挨拶をし、靴を下駄箱に入れ入室します。詰将棋マラソンという自分専用の詰将棋ファイルが準備されていますので、その中にある詰将棋プリントを解いていきます。(いつつ教室で使われている詰将棋はすべてオリジナルで、詰将棋本からの引用はしておりません。実戦ででやすい形からスタート、優しい問題から難しい問題まで並んでいます。)これを生徒のペースで解いていきます。

1枚解けたら提出、もう1枚解けたら提出、と提出箱にいれます。次回までに講師が添削して各自の子どもたちのファイルに戻しますので、次回は添削された直しのプリントから取り掛かかります。どうしてもわからない問題は先生からヒントをもらうこともできます。詰将棋プリントは自宅に持ち帰り宿題にしてもOKです。時々、「今日の詰将棋」といってみんなで一斉にプリントをする日もあります。タイムを測るのですが、その時の子どもたちの集中力はすごい!です。

 

2:大盤解説

年間スケジュールの決まったレジュメに沿って、解説が行われます。元町校も府中校も共通のレジュメを使っています。駒落ちの定跡。中盤の手筋。終盤の手筋、などなど。その月のテーマに沿って講師がわかりやすく解説します。今日講義した内容の手筋、例えば「垂れ歩」の講義をした後に、実戦で「垂れ歩」ができた子には、講師から「ポイント」がもらえます。その日に習ったことを意識して実戦を指してもらっています。

毎月のテーマに沿って解説をします

3:生徒同士の実戦

いつつの記録カード「手合カード」を使って生徒同士の対局。ときには同じ棋力同士をグループにしリーグ戦を行っています。対局結果はデータとしてすべて保存しています。どの子とどの手合で勝ったのか負けのか。入会してから全ての記録をがあります。生徒同士の対局も、ただ対局するだけにならないよう、毎月リーグ戦で優秀な成績の子には「名人」や「王将」の称号が与えられます!

4:講師による指導対局

月1回以上は講師との指導対局が行われます。手合は、級によって違います。講師は対局が終わったら、その場で生徒へアドバイスをしますが、これらも記録としてもデータ入力をしています。講師陣で共有することで、指導の引き継ぎをし、次回対局をする時に、課題を意識した対局ができるようにしてもらうためです。

5:まとめの時間

昇級者が認定書を渡します。今日の総括をし、挨拶をして終わりになります。

級が上がると認定証がもらえます。

〜ここまでがのびのび教室の流れとなっています〜

その他に、いつつ教室ならではの特色があります。

★目標カード

毎月、今月の目標を考えます。目標カードに「◯級になりたい!」や「詰将棋を20問解く!」などそれぞれ自分で考えて目標を書きます。またその目標が達成されたのか、達成されなかったのかの確認も月の最後に講師と確認しています。

目標は、達成されたかどうかを確認しています。

★成長記録

指導対局の結果や講師の感想もすべて記録を残しています。講師は対局が終わったら、その場で本人にアドバイスはもちろん、そのコメントを記録しています。そして「成長記録」として印刷し、毎月親御さんへ渡しています。将棋は他の習い事と違って生徒の成長が、級や勝敗といった部分にフォーカスしてしまいがちです。確かにわかりやすい部分なのですが、入りたての子は特にすぐに白星につながらないことが多いものです。負け=成長していない、ということではまったくありません。

ただ、将棋を知らないお母さんにとって、将棋の中身の成長は、わかりずらいことと思います。そこで、将棋の専門用語は入りますが、指導対局で良くできた部分、次回への課題などを「成長記録」としてお渡ししています。もちろん送迎の際、口頭で伝えることもしています。いつつ将棋教室では「子ども×教室×親」の三位一体のコミュニケーションで子どもたちの将棋の成長をサポートすることを大切に思っています。

すべてデータとして記録をしています。

★級の認定

将棋界にはアマチュアの級については、それぞれの道場や教室で独自の級を定めていて、共通の規定はありません。いつつ教室では、級の認定は「昇級カード」で認定します。昇級条件をクリアできれば昇級できます。昇級条件は、講師との駒落対局・詰将棋・礼儀作法 以上の3つの観点からみています。

中には昇級条件が書かれていて、それをクリアすると昇級するシステムになっています。

昇級すると、いつつの「認定証」をもらえます。生徒は自分は今何級なのか、そしてどのようにすれば級が上がるのがわかります。のびのび教室では、最終目標を「初段」に置いています。

★お楽しみのゲーム

最後は、対局が終わった人から詰将棋のカルタなどをします。いつつで作った『詰将棋deカード』で、詰将棋の取り札を探します。最後はゲームで楽しんだり、時間ギリギリまで対局をしている子もいます。

真剣に詰将棋カルタをして楽しみます。

以上が、いつつ「ののびのび教室」の流れと特色になります。

いつつでは、子どもたちが将棋を楽しくまたモチベーション高く学べる環境作りを日々研究しています。

この記事の執筆者中倉 彰子

株式会社いつつ代表取締役、女流棋士。女流アマ名人戦連覇後、94年高校3年生で女流棋士としてプロデビュー。プロとして公式戦を戦うだけでなく、NHK杯将棋トーナメントなどテレビ番組の司会や聞き手、イベント司会などでも活躍。私生活では3児の母親でもあり、育児と仕事の両立に奮起。2007年日本女子プロ将棋協会設立に参画。事業部長として、地域や子どもたちに長く親しまれるイベント作りを心がけている。子育てエッセーを地方紙7新聞に連載し、近年は将棋と知育・育児を結びつけるような活動を広く展開。2015年10月株式会社いつつを設立、代表取締役に就任。女流二段。法政大学人間環境学部卒。東京都府中市在住。@AKIKOPDG

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